発達支援や療育の現場でよく耳にする 「感覚過敏」 や 「感覚鈍麻」。
特に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちにとって、これらは日常生活の過ごしやすさを大きく左右する大切なテーマです。
外から見ただけでは分かりにくい感覚の困りごとは、
・パニック
・落ち着かなさ
・特定の場面を極端に避ける行動
につながることもあります。
この記事では、ASDに見られる感覚プロフィールの特徴と、家庭・学校・療育現場で今日から使える支援の工夫を、できるだけわかりやすくお伝えします。
【1】ASDにおける感覚プロフィールとは?
ASDの子どもは、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)だけでなく、
・前庭覚(バランス感覚)
・固有受容覚(身体の位置や力加減の感覚)
などの「身体の内部の感覚」に偏りが見られることがあります。
主なタイプは次の3つです。
● 感覚過敏(ハイパーセンシティブ)
ごく小さな音や光、触覚刺激にも強い不快感を感じる。
● 感覚鈍麻(ハイポセンシティブ)
刺激に気づきにくい / 反応が弱いため、周囲から“無関心”に見られることも。
● 感覚探求
求める感覚を自分で取りに行く行動(回転・ジャンプ・触る・同じ音を聞くなど)。
▶ 同じ子どもに「過敏」と「鈍麻」が混在していることは珍しくありません。
【2】感覚特性の“現れ方”の具体例
子どもが見せる行動には、必ず“身体の感じ方”が関わっています。
▶ 聴覚過敏
・教室のざわめきが「痛い」
・急なチャイム音でパニック
・耳をふさぐ行動が多い
▶ 視覚過敏
・蛍光灯のちらつきが気になる
・スーパーの明かりで目を細める
・帽子やフードを好む
▶ 触覚過敏
・服のタグが「チクチクして無理」
・水・砂・粘土の感触を極端に嫌がる
▶ 味覚・嗅覚過敏
・偏食につながる
・においが気になり食事の場を避けがち
▶ 前庭覚・固有受容覚の鈍麻
・ジャンプ・回転・走り回るなど運動刺激を求め続ける
・落ち着きがないように見えるが、実は「身体の位置を感じにくい」場合も
【3】支援の基本方針:3つのキーワード
感覚特性への支援は、次の3つを意識するだけでぐっとやりやすくなります。
✔ 1. 避ける(苦手な刺激を遠ざける)
・イヤーマフ、ノイズキャンセル
・光量調整(間接照明にする、明るさを下げる)
・刺激の強い素材の衣服を避ける
✔ 2. 補う(安心できる刺激を加える)
・重み(加重ブランケット、膝掛け)
・バランスボールでリズムよく揺れる
・落ち着く姿勢を保てる椅子を選ぶ
✔ 3. 選ばせる(自分で調整できるようにする)
・衣服の素材を選べるようにする
・座る場所の選択権をもたせる
・休憩の仕方を選べるようにする
▶ 家庭でも「音量を下げる」「香りを控える」など、ちょっとした環境調整が大きな安心感につながります。
【4】行動の裏側に“感覚”を見るという視点
たとえば…
・突然走り出す
・大きな声を出す
・触れられるのを極端に嫌がる
…これらは“問題行動”ではなく 感覚刺激への対応 かもしれません。
「この行動は、どんな感じ方の結果なのかな?」 と考えるだけで、
叱る → 理解する
へと視線が変わり、子どもが安心して過ごせる支援につながります。
【まとめ】
ASDの子どもたちは、私たちとは異なる独自の「感じ方」を持っています。
その世界を理解しようとする姿勢は、子どもにとって大きな安心と信頼になります。
✔ 子どもの感覚プロフィールを知ること
✔ 適した環境を一緒に整えること
✔ 行動の背景に“感覚”があると捉えること
これらは、日々の関わりを優しく変えるための第一歩です。
お子さんが「ここは安心できる」と感じられる環境づくりを、ぜひ今日から始めてみてください。



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